敷地は和歌山県海南市に位置する間口6m-10mの南北に長い変形敷地で、西側にJR沿線の鉄道が走っている。クライアントは20代の若いご夫婦とお子様の3人家族で、小学校が近いということもあり「自然素材で雰囲気のいい空間とできれば騒音対策を」とご依頼頂いた。

騒音対策と趣味のスペースとして活用できる新しい土間スタイルをご提案。南北に長い敷地形状を活かし、北側は道路からのボリュームを押さえ水回りを集約、南側は生活空間をコンパクトに、シンプルな2階建ての切妻屋根とした。それらを「通り土間」でつなげ、エントランスや収納、趣味のスペース、また階段室を兼ねた。

北の玄関、南の勝手口をともに木製引戸とすることで家全体の通風を確保し、2Fの南北の大開口からと、吹抜け上部のトップライトから採光を得る計画とした。また、外に面する壁、天井を遮音仕様とし、ヴォイド(通り土間)を介してLDKや寝室などのプライベート空間を騒音から守るよう配慮した。

「通り土間」は、子供たちの遊び場でもあり、観葉植物を置いたり、お気に入りの雑貨をディスプレイしたり、井戸端会議の場所となっている。南北に風が通り抜け、最小限の開口である地窓により通気性・採光は抜群で、光溢れる通り土間に仕上がっている。また、仕上げにしっくいなどの自然素材を使い、床の無垢材は住まい手と一緒に塗装することで、愛着を感じながら持続しつづけるイエを目指した。