160528
ハチミツ36「明るい建築をめざして」
ゲスト:村山徹(ムトカ建築事務所)
http://www.mtka.jp/
先日のハチミツは、横浜からムトカ建築事務所の村山徹さんをお迎えすることができた。月1開催していたハチミツも思えば、3周年ということで36回。我ながらすごい。もちろん共同運営してくれている田辺くん、東端くんのおかげ。村山さんは神戸芸工出身で東端くんの先輩ということでそんな縁で実現となりました。
イベントは弊社が入っている旧西本組本社ビルの1階レンタルスペース”SPACE2410″で開催しました。ムトカさんは先日、2016年度住宅建築賞を受賞されたばかり、関東だけでなく日本を牽引する若手建築家のひとり。そんな村山さんに来て頂き、始まるまでと座談会、2次会とたくさんの話ができて刺激的な1日でした。座談会の詳しいレポートは東端くんのブログを参照してもらいたい。
地方の車窓から
http://batao.exblog.jp/25893513/
設計を行うとき、空間の中で思考の散歩をしているんだ。
われわれはどこかに同時並行的に別の世界があるような感覚がある。
その先に明るい建築があると信じて、その入り口を探している。
なんとも腑に落ちる言葉で身震いした。我々の設計行為とは、エゴイズムと紙一重であり、なぜ造るのか、そんな手間やコストがかかることをする必要があるのか、誰のための建築か、と自問自答に追いつめられることがよくある。信じるものは自分がいいと思うことであり、固有の経験でしかない。しかし自分の今そうやって考える世界はちっぽけで、社会や文化やしきたり、さまざまな制約から解き放たれ、もっと自由な空間を設計をしたいと思う。建築雑誌でムトカさんの作品を初めてみたときの衝撃を思い出した。同じ建築というジャンルで仕事をしていても似て非なるものの存在感、まさにパラレルワールドに連れていかれたような感覚だった。そんな風に世界へ引き込むことができるから、絶対的な説得力を持ち合わせているんだろう。初見の方はまずはムトカ建築事務所の作品を見てもらい、同じ感覚になって頂きたい。すべてを理解するのは困難だがこの感覚が重要なのだろう。
アーティストとのコラボをたくさんされている話を聞いて、建築って本当に面白いなぁって思う瞬間が何度もあった。村山さんが大切にひとつひとつの言葉を説明されるにつれ、まるで僕たちはクライアントのような感覚で聞き入り、うなずかざるを得なかった。正直を言うと、小難しい建築論やマニアックすぎる話についていけるかさえ不安であった。しかしそんな不安はどこかへ、まるで大学生のときのように、建築に初めて触れたときのように聞いていた。予定時間を越える2時間強の講演も、この楽しい時間が終わらないで欲しいとさえ思った。
2次会も終わり別れ際に
「和歌山にはまた必ず来ます。そして今度はお互いもっと大きくなって、また建築の楽しい話をしましょう!」と言葉をもらった。目指す方向は違うのかもしれないが、建築という同じ世界の中でたくさんのヒントと勇気をもらった。こんな素晴らしい先輩や同志がいることに感謝しつつ、まだまだもっと頑張らないとと思った。
もうひとつの世界の入り口を探して。
ムトカ建築事務所
http://www.mtka.jp/