和歌山県西牟婁郡白浜町に建つ木造2階建ての夫婦・子供2人の4人家族のためのコートハウス型住宅である。要望は「野球が大好きな息子たちのためにキャッチボールができる大きな庭のある家と開放的な住まい」であった。

敷地は、海と山が近く別荘地として人気のエリアで、緩やかな斜面地にある。前面道路には前景として、秋になれば黄色に色づけしてくれるイチョウの街路樹が植わり、遠景には小高い山々がある。緑豊かな恵まれた周辺環境を活かしながら、敷地の中心に対角線上に中庭を配置し、母屋やインナーガレージで囲うコートハウス型の住宅にすることを決めた。

クライアントはビール製造に関わっており、大好きなビールを毎夜呑めるようにとビールタップのあるキッチンカウンターを家の中心に据えた。球場さながら芝生が敷かれた中庭では、キャッチボールとバッティング練習ができて、キッチンとリビングからの2カ所の木製建具で大きく庭へ開かれている。屋根がかかるアプローチには木のルーバーを施し、外からのプライバシーを確保した。家族がどこへいてもわかるように空間を一続きとし、吹抜けを通してトップライトから光が1階に届く。家族が集まる空間で心地よく過ごすために奥様の夢であった蓄熱暖房機を採用した。また、全体を自然素材を使用することを心がけ、子供たちと家の経年変化を楽しめるよう配慮した。

竣工写真は、引き渡しの2年後に撮影されたものである。現在は、家族にフレンチブルドックの麦ちゃんも加わり、より賑やかな住まいになっているようでとても嬉しく思っている。