資料提供／Yasuko Moriura
旧西本組本社ビルは大正後期に建てられた近代洋風建築である。1945年７月９日、和歌山大空襲によって周辺はほとんどの建物が焼失。しかし、鉄筋コンクリートづくりの西本ビルだけが残った。外観は１階が御影石の化粧張りで、２階から黄色いタイル張りである。３階建てと塔屋を持つ形式だが、内部はそれぞれのフロアの天井が高く、ダイナミックな空間を今にも残している。2000年には、国の登録有形文化財として登録された。
２階は、我らの師である本多友常氏（和歌山大学名誉教授、現摂南大学教授）が和歌山にはじめに設計事務所を構えた場所でもあった。当時、学生であったわたしはアルバイトとして朝から晩まで模型作りに通っていた。2014年8月、THE OFFICEを構えるにあたり私たちは場所探しを始めたが、思い出の場所であるこの歴史的建造物で、建築を業として働くことができることに迷いはなく、ここだと決めることができた。
新たな１ページをここから創ることができることを誇りに思う。
建築のみならず、ここがまたたくさんの作り手やデザイナーたちの発信の拠点となり、新しい創作の場となることを切に願う。
THE OFFICE 代表
柏原 誉
旧西本組本社ビルの改修はこちらから 登録有形文化財のリノベーション ／ 続
