和歌山市森小手穂に建てられるご夫婦とお子様のための木造2階建ての30坪を下回るコンパクトな住宅である。
隣に祖父の耕す田畑があり、裏は小高い山に囲まれており、庭先をイノシシが通ることがあるそうだ。「無理せず、背伸びせず、自然なままの住まい」を目指して、周辺環境の読み込み、コンパクトな間取りを心がけた。家の中央に土間を配置することで、土間を介して各諸室がつながり広く感じられるように曖昧な領域とし、また2階からの光採りとして機能させた。キッチンにいても子供たちが遊ぶ和室やリビングを見渡せるよう、土間を介して和室とLDKが1室として使えるよう計画した。各諸室の天井高さは2100mmと低く設定し、天井の高い水回りや土間、階段室の吹抜けを組み合わせて広がりを感じられるよう心がけた。
外観は軒を出し、勾配屋根をゆるやかに架けるデザインとし、ピロティや2階ベランダ、軒下は構造体を現しであり、コンパクトながらも豊かな空間を包有している。素材は、自然の経年変化を楽しみながらメンテナンスしていく選択をし、周りの自然や子供の成長とともに家の成長を楽しんでもらえればと期待している。