和歌山県和歌山市雑賀崎に位置する番所庭園でのガーデンウェディングのプロジェクトである。

われわれ共通の後輩の結婚報告からプロジェクトはスタートした。親族、友人を招いた結婚披露パーティーを自分たちの大切な場所で手作りで開催したいという相談から、会場の選定、当日のプログラム制作に至るまでのディレクションと、空間構成、アートワークを担当することになった。

開催地の番所庭園は、和歌山市の南西に位置する和歌浦湾に突き出る芝生の日本庭園である。ぐるりと瀬戸内海に囲まれた開放感あふれる場所で、普段は公園や釣りスポットとして利用されている。新郎が学生時代に住んでいた地域ということもあり、縁が深く、出席者の方々にぜひ知ってもらいたいということで会場に選定した。

新郎新婦のもてなしの気持ちや、朗らかな人柄を汲み取りながらも、設営は前日に限られ天候に留意すること、予算に配慮し、建材や什器のストックを活かすこと、そして芝生を痛めないような設置方法の検討が求められた。

まず、細長く突き出た敷地に対しプログラムがスムーズに進むよう、受付、人前式、披露宴、フードエリアの4つにゾーニングし、それぞれに自主施工可能な什器を設けた。きらびやかな豪華なパーティーではなく、ホームパーティーのような気さくなものにしたいという思いから、披露宴エリアは新郎新婦と45名の出席者が、軽やかな白い屋根のもとでひとつの大きなテーブルを囲むように設計した。建材はどれも加工を最小限にとどめ、ストックと組み合わせながら再利用可能なよう配慮している。また花を生けた杭やパーティーのためにデザインしたキャラクター達の等身大パネルで会場に彩りを添えた。

当日は晴れ渡る日差しの中で開催することができた。テーブルには新婦と同じ名前を冠した果物を飾り、ケータリングは、二人の出身地の特産品を使ったオリジナルメニューでお客様を迎えた。ドレスコードのイエローを纏って各地から集まった出席者は、楽団による生演奏に耳を傾けながら、この場所の魅力と、この幸福な空間を築き上げた二人の人柄を感じただろう。

私たちからも末永い幸せを願いたい。おめでとう。