和歌山市内にあるカフェを食堂へとリノベーションするプロジェクトである。RAPYARDの神谷氏との共同設計でプロジェクトを進めた。

7年前にオーガニックカフェ『Deli+Table ti.po(ティポ)』としてオープンし、開店前には行列ができるほどの人気店として繁盛してきた。しかし「もっと美味しいごはんを食べてもらいたい。」というオーナーの想いから、カフェから食堂として再出発することになった。オーナーの祖母は同じ場所で寿食堂として食堂を営んでいたこともあり、ルーツをさかのぼる店作りである。

カフェのときの厨房の面積は、たった4畳程度であったが、ここでスタッフ3ー4人が数十食のランチを組み立てていたというのが驚きである。まずは、広い厨房の確保と客席数を増席することを求められ、準防火地域での既存建物の改修という規制の中で、中庭へ増築することを決めた。また、南向きで日の当たる中庭に厨房を配し、ゲストからは木製の大開口を通して厨房全体を見渡せるよう「魅せる厨房」とした。ハイカウンター席を増やし、ひとりでも気軽に入れる店を目指した。大きくメニューも刷新され、釜で炊く飯が追加された。釜飯とメインメニューの構成に、これまで人気だったカフェメニューやドリンクも提供するということで、それぞれのスタッフの動線が重ならないように配慮した。

メインテーブルは、海南のHOUSEHOLD INDUSTRYの武田氏に製作を依頼し、彼が導いたコンセプトは「豆腐屋の工房」であった。清潔感と職人の仕事場という雰囲気で、魅せる厨房に呼応するステンレスの大テーブルを作ってくれた。また、トイレやカウンター、スチールサッシやテーブルは既存のものも再利用し、元厨房であったエリアは天井を下げることで空間に変化を与えた。外観は極力手を加えず、武田氏に製作してもらった真鍮の表札と暖簾を取り付けるのみとした。植栽工事は、オーナーらによる施工が予定されている。

これからも和歌山を代表する食堂として、美味しいごはんを提供してくれることだろう。おすすめなのでぜひ行って頂きたい。

食堂ことぶき
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