和歌山市内の元砂糖保管倉庫であった建物のリノベーションである。JR和歌山駅と和歌山城を結ぶ大通りのそばにありながら、静かな問屋街の中にあり、近くには今も商店が建ち並ぶ。うなぎの寝床のように間口が狭く東西に奥行きが長い木造倉庫である。シンプルな切り妻屋根は繊細な木材のトラスで構成され、採光は西側と南北に設けられたハイサイドの木製窓のみであった。中にあった事務室は新建材で作られていたが、茶色く色を落ち着かせたラワン材のベニヤと床板、そして自然光のみで照らされたトラスの木組みは美しく、空間は静寂に包まれていた。
創作菓子の活動をしてきたsouwaの実店舗として物件探しからスタートし、砂糖屋さんの倉庫と出会うことができた。まず、既存のトラスやラワン材、事務室の骨組みのもつ魅力をそのまま活かせることはできないかと考えた。デザインされていない必然性から生まれるカタチと新たな用途から生まれるカタチの融合を試み、すべて残存するものからデザインの着想を得た。また、西日を利用して学校の講堂や教会のステンドグラスような大きな開口を開けた。厨房は作業が見え隠れする程度の曖昧なオープンキッチンとし、カウンターには小豆色の左官壁を施した。元事務室の躯体はそのまま拡張し、倉庫とレストルーム、バックヤードとした。チェアはスクールチェアを選定、テーブルは自主制作した。また、ロゴ、ショップカードやスタッフの着用するエプロンもオリジナルで制作した。
和歌山の季節野菜や果物をつかって、テーマに合わせた料理の表現の場としてつくられた窓話。これからの活動を応援するとともに、新たな創作の場になることを願う。
窓話 ソウワ
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