2018年4月に旧西本組本社ビル1階 normにて行われる、スタジオキイによる個展 <PLYWOOD OBJECT>のアートワークである。
スタジオキイは木工職人である梅本敏明氏によるスタジオである。2012年に設立し、和歌山に工房を構え、プライウッドを中心とした素材に向き合い制作している。代表作であるプライウッドトレイはニューヨークやロンドンのDOVER STREET MARKETでも取り扱われるなど、世界で活躍している。スタジオキイが制作するプロダクトはどれも力強さを感じる。シンプルで、その精度の高さから一見すると機械で制作されたようにも見えるが、全てが手作業で作られており、技術の高さを物語っている。
PLYWOOD OBJECTSは梅本氏の初めての個展である。世界で活躍する彼が、初個展を和歌山で開催すると決めたと聞いて本当に嬉しかった。テーマを表すテキストとして、以下の文章を寄せてくれた。
「曲線と直線で構成されたプライウッドの立体。
家具のようで彫刻のような小さな建築。」
とても抽象的な言葉の連なりだった。かたまりとして存在し、それが何なのかは委ねるような表現。ただ建築という言葉がでてきたのは意外に感じた。プライウッドは建築の構造材。それを表層に使うという発想から、一周してまた戻ってきたようにも感じるが、彼がまた素材の新たな魅力に向き合い方を始めたということに他ならない。
DMデザインは、作品の部分を切り取ったものにしようと考えた。これまでの作品を知る人には驚きを与え、全体を想起させるような余白を持たせた。またイラストで表現することで、さらに抽象的な存在として表現した。テキストは最小限に留めながらも、白度の高い紙とのコントラストで力強い印象をもたせた。
今回制作するにあたり個展の構想段階より打ち合わせさせていただいた。梅本氏がPLYWOOD OBJECTSというテーマに行き着くまでの、少しづつブラッシュアップされてゆく思考に触れることができ、刺激的な時間となった。