2017年12月に旧西本組本社ビル1階 normにて行われた、河合悠氏の個展のアートワークである。

河合悠氏は蝋燭作家として各地で個展やワークショップ、アーティストとのコラボレーションなどの活動をされており、今回初めて蝋燭とともに日々描き続けている絵を披露するという内容であった。

彼の絵は、封筒や手紙の裏などすべて身近にある素材に柿渋や白黒の塗料で塗り重ね、または削ずられ描かれている。数字や言葉の反復、猫や人などのモチーフも見られる。衝動的に筆をとって描いた「私的な日記」ともとれる作品である。彼にとっての日常であり、蝋燭へ向かうための準備作業のようなものなのだろうか。

DMのメインビジュアルは、数ある作品の中からダンボールに描かれた作品を余白の中に配置し、情報とともに彼から生まれる言葉をそのまま記した。用紙は ざらりとした手触りが残るものを選び、この作品が鑑賞者にとって美術品や近寄りがたいものではなく、もっと身近な存在として感じられるよう心掛けた。

彼が描くのは光々とした灯りの元ではなく、薄暗い環境だという。そう聞くと また違った見え方がしておもしろい。