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去年紀美野町の山の上に家を建てた笑達くんと有紗ちゃん。山の尾根を少し均して家を建てた。設計は益子の建築家、町田泰彦さん。野原や畑を挟んで尾根の反対側に建てられたアトリエ、そして山を下りた町道沿いに現在小さなお店をセルフビルドで建築中だ。何度かお邪魔させてもらっているが、本当に豊かな建築と素晴らしい環境の中で自由な創作を続けている。

さて、来年1月から始まるnormでのふたり展のDM撮影でひさしぶりに山を訪ねた。彼らの新たなお店でのスタートと年の始まりということでテーマは日の出になった。紀美野の山中で家とアトリエとお店を早朝の光が照らし始める、そんな写真を撮りたかった。海南市を拠点にしている写真家の黒岩くんにドローン撮影を依頼。黒岩くんと笑達くんは旧友で海外に二人旅をするほど仲がいい。

 

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そして早朝撮影はなんとも楽しい。

車の少ない街中の風景は新鮮で、山はまだ起きていないように静かなのも良い。ずっとわくわくしている。鍛冶屋のいえの撮影のときは深夜3時からだったけど、今回は6時半。たわいもない話をしながらご来光を待つ。帰還するドローンを待つ黒岩くんははじめてのおつかいを見守る親のよう。

 

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撮影終了後に有紗ちゃんがつくってくれた朝食をみんなで頂いた。具がとろとろになった酒粕汁が優しく、冷えきった体を温めてくれた。酵素ジュースも達ちゃんが焼いてくれた酵母パンも美味しかった。体が温まったところで出勤の時間。

いつもここに来ると、いい暮らしとは、いい建築とは、と考える。いいキッチンも薪ストーブも彼らが集めた調度品も、すべてが心地いいんだけど、建築として、空間としてただ存在しているということよりも、木々や草花、一面に夜露が降り、日の光で温められていくように、環境の一部となり暮らしている。ここに流れている時間が優しくて、また険しくて、毎日が変えがたい唯一無二なものなんだろうと思った。背伸びせず、大きなものに争いもせず、身を委ねながら。そんな場所を手にした達ちゃんらが本当に羨ましい。

そんなことを考えながら山をあとにした。