2019年normのはじめての展示である、河合悠 宮武史郎展「なにものでもなきものたち」のアートワークである。
normでの1年前の河合悠さんの展示DMを任せてもらってから、ありがたいことにデザインの仕事が続いた。本格的に作家の展示DMのあり方を考えさせてもらったいい機会だった。
河合悠さんの蝋燭、絵やオブジェの展示と、宮武史郎さんの彫刻の展示である。宮武さんは人形劇団に所属し舞台美術の仕事をしつつ、個人の表現として漂流物を彫刻作品にしている。そして、会期中イベントとして、音楽に権頭真由さんを迎え、舞台 “なにものでもなきものたち”(なにものでもなきものに命を吹き込み、名前を与えようとする者のお話)を開催する。翌週末には闇夜の蝋燭をつくるワークショップも行う。
悠さんから数枚の絵と手紙、そして宮武さんの作品が送られてきた。悠さんの絵は、封筒や手紙の裏などすべて身近にある素材に柿渋や白黒の塗料で塗り重ね、または削ずられ描かれている。宮武さんの作品は、オブジェであり、菩薩のようでもあり、女性なのか、優しいフォルムが素晴らしかった。
DMは、悠さんの作品の一部になりたかった。メインビジュアルをモノクロとし、縦長に短冊のように切り取った。また、今回の展示は人形劇の舞台があるのが特徴だ。そこで、DMを見る行為そのものが作法のようになるようなことができないか、と考え、式典の目録のように縦に開く形式とした。デザインの